このページでは、ヘルシンキにあるテンペリアウキオ教会について紹介します。
基本情報
テンペリアウキオ教会(英語:Temppeliaukio Church)は、フィンランド・ヘルシンキのトーロ地区にあるフィンランド福音ルター派教会に属しているキリスト教会です。献堂は1969年です。
岩山をくり抜いて堅固な岩に直接建てられていることから、「岩の教会(Church of the Rock)」や「ロックチャーチ(Rock Church)」の名でも親しまれています。むき出しの岩肌は大地と人類の歴史を感じさせ、天窓から差し込む自然光は祭壇をやさしく照らします。
テンペリアウキオ教会は、ヘルシンキ市民にとって特別な場所です、「ここで結婚式を挙げるのが夢」と願う人も多く、週末には結婚式が開かれることもあります。

観光
住宅街に静かに佇む教会
ヘルシンキの閑静な住宅街の中に、ひっそりと姿を現すテンペリアウキオ教会。高い尖塔や華やかなファサードはなく、一見しただけでは教会と思えないほど周囲に溶け込んでいます。その控えめな佇まいは、まるで街の風景の一部のようです。
外観は、同じフィンランド福音ルター派に属する白亜のヘルシンキ大聖堂とは対照的です。テンペリアウキオ教会は天然の岩山をくり抜いて造られており、地上に見えるのは球状の屋根の一部と、厚みのある岩壁だけです。


岩の教会に降りそそぐ、やさしい光
教会の扉をくぐると、まず目に飛び込んでくるのは、むき出しの岩肌。その岩壁に囲まれた空間は、まさに「岩の教会」と呼ばれる理由を物語っています。
円形の祭壇スペースは、堅固な岩盤をくり抜いて造られており、上部には180枚のガラス窓がスリット状に並びます。その窓から差し込む自然光が、教会全体をやわらかく包み込み、荘厳さの中にどこか温もりを感じさせてくれます。
華やかな装飾は一切なく、あるのは岩と光だけ。シンプルながらも洗練された空間に広がる静けさと、光と影の織りなす美しさは、この教会を「光の教会」と呼びたくなるような、そんな神聖さに満ちています。


神秘的な空間で響く、唯一無二の音
テンペリアウキオ教会は、その独特な建築美だけでなく、音響の良さでも高く評価されています。荒々しく加工の少ない岩肌が、音をやわらかく反響させることで、他にはない音響空間をつくり出しています。
この優れた音響効果により、教会はコンサート会場としても人気が高く、年間400回ものコンサートが開催されているほどです。
教会に鐘はありませんが、録音された鐘の音が外壁のスピーカーから流れるようになっています。
歴史
テンペリアウキオ地区に教会を建設する構想は1930年代に始まり、、設計コンペが開催されました。しかし、第二次世界大戦が勃発し、計画は中断を余儀なくされます。
戦後の1961年に改めてデザイン・コンペが実施され、ティモ&トゥオモ・スオマライネン兄弟による設計案が採用されました。予算の都合上、当初案の4分の1ほどの規模に縮小されることになりましたが、1969年にテンペリアウキオ教会はついに完成します。
フィンランドの地形は氷河期に形成され、森と湖とともに、岩山もまた国の自然を象徴する存在です。スオマライネン兄弟は「できるがぎり自然の岩を残す」という理念のもと、この教会を設計しました。
現在の象徴的な岩壁は、スオマライネン兄弟がこのアイデアを検討していたものの、審査員に受け入れられないと考え、当初の応募作品には含まれていませんでした。、のちに音響の専門家らの意見を取り入れ、岩肌をそのまま活かす設計に変更されました。
アクセス
ヘルシンキ中央駅から徒歩で約15分です。
ヘルシンキ大聖堂やウスペンスキー大聖堂など、多くの人気観光地とは反対方向に位置していますが、ヘルシンキ大聖堂から徒歩約25分と歩ける距離に位置しています。