この記事では、オランダ・ロッテルダムにある複合施設マルクトハルの天井壁画やグルメについて紹介します。
マルクトハルについて
マルクトハル(蘭: Markthal、英: Market Hall)は、オランダ・ロッテルダムにある「住む」「食べる」「楽しむ」を融合させた複合施設です。マーケットやレストラン、住宅、駐車場などがひとつの建物内に一体化されています。5年の建設期間を経て、2014年10月1日に開業しました。
大きさは全長約120メートル、幅約70メートル、高さ約40メートルです。外観はアーチ型をしており、カマボコの形や馬の蹄を保護するための蹄鉄(horseshoe)に例えられることがあります。アーチの両側や上部に沿って住宅が配置されています。
建物の中心には、フードマーケットが広がっており、1階には地元の農産物や輸入食品を扱うお店の他に、魚介類、肉屋、パン屋、雑貨屋などさまざまな店舗が並んでいます。2階にはレストランが、地下にはオランダのスーパーマーケット「アルベルト・ハイン(Albert Heijn)」などがあります。
マルクトハルのみで食事やお土産の購入が完結するほど、あらゆる機能が備わっています。屋根付きのマーケットということで、雨が多いロッテルダムを観光する際にはありがたい施設です。
天井の壁画
ユニークな外観や充実したマーケットが特徴ですが、中に入って特に目を引くのはアーチ状の天井に描かれた壁画です。天井全体を覆うこの壁画は、果物、野菜、昆虫、花、植物といった色とりどりの絵で埋め尽くされています。
壁画は「Hoorn des Overfloeds(英: Horn of Plenty)」と呼ばれ、オランダのアーティスト、アルノ・コー(Arno Coenen)とアイリス・ロスカム(Iris Roskam)によって描かれました。この作品は「世界最大のアートワーク」とも称され、大きさは11,000平方メートルにも及びます。色鮮やかな食材や自然によって市場の活気と豊かさが表現されています。
対照的に、外壁のファサードや建物の床はすべてグレーの石で覆われ、カラフルな壁画を際立たせています。また、ガラス製のファサードを通して自然光を取り入れることで、壁画が美しく照らされるように設計されています。この設計により、外から見たときの透明感や内部からの景観の良さが際立ち、マルクトハルの建築美を引き立てています。
構想から建設まで
5年の歳月をかけて建築されたマルクトハルは、ヨーロッパの新しい規制により魚、肉、チーズなどの生鮮食品を屋外で販売する際の衛生基準が厳しくなったことがきっかけで生まれました。
当初の計画では、地元住民のためのマーケットと2つの長いアパート棟が建設される予定でした。その後、これら2つのプロジェクトを統合して1つの複合施設にするというアイデアが生まれ、現在のマルクトハルが実現しました。
2009年に建築事務所MVRDVによって、マーケットや住宅、駐車場を統合した斬新なアーチ型のデザインが提案されました。MVRDVはアムステルダムにある集合住宅オクラホマのデザインでも知られています。
建設中には中世のロッテルダムの遺跡が発見され、住居跡や壷、大砲の弾などが発掘されました。これらの遺物は、マルクトハルの地下駐車場にあるTime Stairsというエリアに展示されています。
マルクトハルでのグルメ体験
マルクトハルでは新鮮な地元食材やオランダの伝統料理から世界各国の料理まで、多彩な料理を楽しむことができます。
私は2024年3月にマルクトハルを訪れ、いくつかの屋台でオランダ名物料理を味わいました。屋台の料理は一食分の量が程よく、オランダ名物を気軽に試してみたいというニーズにぴったりでした。値段も手頃で、写真付きのメニューが多く注文しやすかったです。飲食スペースも充実しており、マーケットで購入した料理を建物内で座っていただくことができました。
ハーリング
オランダ名物のニシン料理ハーリング(Haring)を初めて食べました。
ハーリングは、塩漬けや発酵させたニシンのことです。オランダ語のHaringや英語のHerringはニシンを意味しますが、日本語のハーリングはニシンを塩漬け・発酵させた料理名を指します。
Andalus Fishというお店で、ハーリングのサンドイッチ(Brootje Haring)をいただきました。柔らかいロールパンにハーリングがサンドされ、みじん切りにしたタマネギがトッピングされていました。ニシンの脂や塩気がタマネギで引き立てられ、ペロッと食べることができました。
クロケット
次にクロケットをいただきました。日本のコロッケの元になった料理と言われています。
コロッケはマッシュポテトをベースとしていますが、クロケットではベシャルメルソース(ホワイトソース)を使ったクリーム状のフィリングが特徴的です。日本のクリームコロッケに近い印象です。
マルクトハルではHet kroket loketというお店でクロケットをいただきました。色々な味を少しずつ食べてみたかったため、クロケット6種盛りを注文しました。クロケットは注文後に店内で揚げられるため、どれもアツアツで外はカリッと中はクリーミーで美味しかったです。6種盛りでは通常よりクロケットが小さめで、量もちょうど良かったです。
ビーフクロケットやチーズクロケットといった味以外にも、インドネシア料理ルンダンの味などがありました。オランダはかつてインドネシアを植民地として支配していたこともあり、オランダ国内ではインドネシア料理が広く普及しています。
余談ですがオランダではクロケットはスナックや軽食としても楽しまれており、街にはクロケットの自動販売機があることでも有名です。
ストロープワッフル
ワッフルといえばベルギーですが、オランダにもストロープワッフル(Stroopwaffle)という伝統的なスイーツがあります。
ストロープワッフルは、2枚の薄いワッフル生地の間にキャラメル風味のシロップ(ストロープ)を挟んで作られます。ストロープとはオランダ語でシロップを意味し、ストロープには主に砂糖、バター、シロップ、時にはシナモンなどのスパイスが含まれます。
そのまま食べることもできますが、コーヒーや紅茶のカップの上にワッフルを置いて、シロップを少し溶かして食べるのが人気の食べ方だそうです。
Goudstroopというお店で焼きたてのストロープワッフルをいただきました。生地は薄いですが、手に持つと見た目以上にずっしりしていて、結構ボリュームがありました。思っていたより生地もシロップも甘かったですが、甘い物好きとしては大満足でした。
アクセス
最後に
マルクトハルの様子は下記のロッテルダム観光の動画でYoutubeにもアップロードしていますので、興味のある方はぜひご覧ください。