このページでは、フィンランド・ヘルシンキにあるウスペンスキー大聖堂について紹介します。
基本情報
ウスペンスキー大聖堂(英語:Uspenski Cathedral)は、ヘルシンキにあるフィンランド正教会の聖堂です。この大聖堂は、北欧および西ヨーロッパにある正教会の教会で最大規模です。ウスペンスキーはロシア語、厳密には古代教会スラブ語に由来する読み方です。
この大聖堂は「生神女就寝大聖堂」という別名でも知られています。これは、イエス・キリストの母である聖母マリアの永眠を記念する正教会の祝日「生神女就寝祭(しょうしんじょ・しゅうしんさい)」に由来しています。
金色のクーポラ(円蓋)と赤レンガのファサードが印象的なこの大聖堂は、フィンランドにおけるロシアの影響を象徴する建築のひとつです。建設はフィンランドがロシア支配下にあった時代(1809〜1917年)に行われました。

観光
赤レンガと黄金のクーポラが織りなす外観の美しさ
赤レンガのファサードに緑の屋根、そして金色のドーム(クーポラ)が印象的な外観です。
赤レンガは、かつてクリミア戦争で破壊されたフィンランド・オーランド諸島にあるボマルスンド要塞から運ばれたものが再利用されています。
大聖堂を飾る金色のクーポラは全部で13個あります。これはイエス・キリストと12使徒を象徴しているとされ、宗教的な意味合いを持たせた設計になっています。

入場無料で楽しめる、豪華な内部空間
ウスペンスキー大聖堂の入場料は無料です。
内部に足を踏み入れると、ルター派のヘルシンキ大聖堂とは対照的な、豪華な装飾が目を引きます。金をふんだんに使った祭壇や壁画、繊細な装飾が隅々まで施されており、荘厳でありながらもどこか温かみのある空間が広がっています。
教会内はやや暗めですが、ドームや天井の窓から差し込む自然光が内部をやさしく照らしています。光が反射してきらめく装飾や、精緻な天井のデザインにも目を奪われます。


高台に建つ、街のランドマーク
ウスペンスキー大聖堂は、カタヤノッカ地区の中でも最も高い丘の上に建てられており、そのため市内の多くの場所からその姿を望むことができます。高台からヘルシンキ大聖堂やマーケット広場も見えます。



歴史
ウスペンスキー大聖堂は、フィンランドの歴史におけるロシアの影響を象徴する存在です。
大聖堂が建設された19世紀当時、フィンランドはロシア帝国の自治領「フィンランド大公国」として存在していました。1827年に設立されたヘルシンキ正教会教区は、信者の増加に伴い、より大きな教会を必要としていました。
設計を手掛けたのはロシア人建築家ゴルノスタエフです。彼の没後に工事は完了し、1868年10月25日に献堂されました。
ゴルノスタエフは、19世紀後半のロシアの建築復興を代表する建築家のひとりであり、ビザンティン様式に強くウィ教を受けたデザインを特徴としています。特に、赤レンガの外壁、玉ねぎ型のドーム、そして精緻な装飾がそのスタイルを象徴しています。これはロシアで人気のあったスタイルで、当時の政治的影響を物語っています。
アクセス
ヘルシンキ中央駅から徒歩約20分です。