この記事ではゴッホの「夜のカフェテラス」と、そのモデルになったフランス・アルルにある「カフェ・ヴァン・ゴッホ」について紹介します。
夜のカフェテラス
「夜のカフェテラス」は1888年9月にオランダの画家ヴァン・ゴッホによって描かれた油彩画です。英題は“Café Terrace at Night”です。
この作品は、南フランス・アルルの中心部にあるフォーラム広場(Place du Forum)に位置するカフェのテラスを描いたものです。アルルの星空と暖色の灯りの下で、人でにぎわうカフェテラスが描かれています。英題で“The Café Terrace of the Place du Forum”としても知られています。
1891年にこの作品が初めて公開されたときのタイトルは「夜のコーヒーハウス(“Coffeehouse, in the evening”)」でした。
現在はオランダのクレラー・ミュラー美術館(Kröller-Müller Museum)に所蔵されています。この美術館には同じくアルルが舞台の「アルルの跳ね橋」も所蔵されています。
ゴッホはこの絵で初めて夜空を黒色ではなく青色を使って描きました。ゴッホの作品で濃い青色で描いた星空を背景にした作品がいくつかありますが、すべて「夜のカフェテラス」以降の作品であり、同月に描かれた「ローヌ川の星月夜」や翌年の「星月夜」があります。
作品の左側のカフェテラスでは、当時の文明の進化の象徴でもあったガス灯によって明るく照らされた空間が暖かい黄色で表現されています。一方その文明の進化と対比するかのような自然の象徴でもある夜空は黄色とは反する青色で描かれています。
夜空と併せて特徴的なのが、波打つような石畳です。石畳にカフェのガス灯の光が当たることでできた明るい部分と暗い部分とが、ゴッホ独特の表現で描かれています。
カフェ・ヴァン・ゴッホ
画題になったカフェはアルル中心部のフォーロム広場に面している「カフェ・ヴァン・ゴッホ(英:Café Van Gogh、仏:Le Cafe La Nuit)」です。
1990年代初頭にゴッホの絵を再現するために黄色に塗り直され、改装されました。
以前はカフェとして営業しており店内で飲食できましたが、残念ながら法的な理由で2023年7月から営業停止しています。私が2024年4月6日に訪れた際も営業していませんでした。
ゴッホは同時期に「夜のカフェ」というカフェ店内を描いた作品を制作していますが、そのモデルは「夜のカフェテラス」の舞台カフェ・ヴァン・ゴッホとは別のお店です。
アルルへ観光に行った際の様子をYoutubeにアップしていますので、興味があればご覧ください。カフェ・ヴァン・ゴッホの様子は動画開始から4分14秒後くらいにあります。
アクセス
公式サイト:https://www.restaurant-cafe-van-gogh-arles.fr/
アクセス:アルル駅から歩いて約15分
おまけ:名探偵コナンの映画に登場⁉️
2006年公開の名探偵コナンの映画「探偵たちの鎮魂歌」において、「夜のカフェテラス」がちょっぴり関わっています。
コナンと毛利小五郎が廃墟で強盗事件の目出し帽を見つけたところで、依頼者からのヒントとして「夜のカフェテラス」が与えられました。夜のカフェテラスと聞いて、コナンはゴッホの作品だと見抜き、作品に描かれているガス灯を思い浮かべました。
ガス灯が日本で最初に建てられた場所は横浜の馬車道です。夜のカフェテラスでは作品の中央付近に馬車も描かれています。そこでコナンたちは馬車道へ向かい、依頼人の解いてほしい事件を「現金輸送車襲撃事件」だと突き止めました。
15年以上前にこの映画を初めて見た時は「ふーん」という程度でしたが、今なら「夜のカフェテラス」と聞いて、ゴッホの絵画、そしてガス灯が思い浮かびます。