ヨーロッパ博士課程のためのCV作成方法

この記事では、ヨーロッパ博士課程への応募に必要な英文履歴書(CV)の作り方を紹介します。

現在在籍しているベルギーのKU Leuvenには、Europass CVというフォーマットを使いました。ここではEuropass CVを用いたCVの作成方法および私がCVに記載した項目を紹介します。

Europass CV

Europassとは、ヨーロッパで使用されている職務経歴書などを標準化するための枠組みです。その枠組みのひとつにEuropass CVと呼ばれるヨーロッパ共通のCVのフォーマットがあります。

CVはEuropassのウェブサイトから作成できます。CVに記載したい項目を自分で選び、必要事項を入力するだけで簡単に作ることができます。

Europassのサービスを利用するためにはアカウント登録が必要ですが、登録からCV作成まですべて無料です。

また、一度作成したCVの情報を保存できるため、再編集も簡単です。新しい投稿論文や語学スコアの更新などがあれば、アップデートしたCVをすぐに用意できます。

CVの作成手順

Step 1: アカウント登録(無料)

Step 2: 必要項目の選択および入力
CVに記載したい項目を自分で選びます。下記の画像のように職歴や学歴、語学スキルなど15項目以上から選択できます。

入力項目の選択画面

Step 3: テンプレートの選択
自分の好みに合ったテンプレートを選べます。下記の画像では4種類のテンプレートおよび色が選択可能です。

テンプレートの選択画面

Step 4: エクスポート
作成したCVをpdfファイルとしてエクスポートすればCVの完成です。

CVの記載項目

私は、以下の8項目をCVに記載しました。

  • Basic information
  • Education
  • Technical skills
  • Conferences
  • Language skills
  • Digital skills
  • Grants and scholarships
  • References

Basic Information

基本情報(個人情報)として、下記の項目を記入しました。

  • Name
  • Nationality
  • Date of birth
  • Gender
  • Phone
  • Email
  • Address

日本の履歴書とは異なり顔写真は任意であったため、私は載せませんでした。

電話番号は国際電話番号の形式で表記しました。例えば、090で始まる「090-xxxx-xxxx」という番号であれば「+8190-xxxx-xxxx」といった形です。

Education

学歴は、上から修士、学部の順にしました。日本の履歴書とは異なり最新の学歴から順に時系列を遡って記載することが一般的です。

学歴として下記の項目を記載しました。

  • 大学・大学院名
  • 上記の各大学で取得済みまたは取得予定の学位。例えば、M.Sc. Chemistryなど。
  • 学位の取得または取得予定の年月日
  • GPA

学部時代に交換留学をしたため、その旨も学部のさらに下に加えました。

Technical skills

専門スキルは、募集要項に必ず掲載されている重要事項です。要求されている専門技術を有していることを明確に示すことが大切です。

専門が実験系の化学であるため、修士の研究で用いていた実験手法(〇〇合成法など)、研究に使っていた実験装置や分析装置を記載しました。理論系であれば使用できるソフトウェアを書くと良いと思います。

化学系では、日本ではヨーロッパと比べて修士課程において多くの時間を研究に費やします。そのため、実験操作や研究能力などは大きなアピールポイントになります。

私は応募時点で投稿論文がなく、この項目で自身の専門技術を示しました。論文がある場合には、Fig. 1参照などと根拠として示すと有効だと思います。

Conferences

学会発表歴についてです。下記の情報を記載しました。

  • 氏名(指導教員や共同研究者含む)
  • 発表題目
  • 学会名
  • ポスター発表なのか口頭発表なのか
  • 日付

氏名については、自分の名前を太字にして強調しました。

学会での受賞や大学院での賞も大きなアピール材料になります。私は発表の受賞歴もひとつもありませんでした。

投稿論文も受賞歴もありませんでしたが、合格をもらうことができました。上述の専門スキルの項目や志望理由書など他のところで全力でアピールしましょう。

Language skills

英語能力の証明としてTOEFL iBTのスコアを提出しました。ちなみに応募のためのTOEFLスコアの目安はなく、そもそも提出すらも任意でした。

英語以外で話せる、勉強したことのある言語があれば、それらも記載しておきましょう。

言語レベルの表記には、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)というヨーロッパ言語共通参照枠を使いました。CEFRでは、言語の能力をA1、A2、B1、B2、C1、C2という6段階で分類しています。

Digital skills

扱うことができるプログラミング言語を記載しました。面接でもプログラミング経験について質問されたため、何かあれば書いておくとアピールになります。

プログラミング言語でなくとも、何かしらプラスになると思うスキルがあればとりあえず書いておくと、他の出願者との差別化につながり、選考者の目に留まるかもしれません。

Europass CVでは証明書の添付が可能であるため、Courseraで受講したプログラミング系コースの証明書を添付しました。

Grants and scholarships

大学時代にいただいた給付型奨学金について、交換留学や短期留学の奨学金などすべて記載しました。奨学金はその人物の能力を証明する重要なツールであるため、書けるものはすべて書いてアピールするようにしました。

各奨学金について、下記の三点を記載しました。

  • 奨学金の名称
  • 受給期間
  • 奨学金についての概略

概略については、「語学プログラム参加者への大学からの奨学金」というように、どういった奨学金なのかを説明する一文を加えておきました。

References

推薦者の連絡先と所属です。あらかじめ推薦状を依頼していた先生方の氏名、所属、ポジション、メールアドレスを記載しました。

まとめ

今回の記事では、Europass CVのフォーマットを使ったCVの作成方法を紹介しました。

CVの作成は無料であり、入力事項を自分で選ぶことで簡単に行えます。

記載項目については、プロフィールのような必須事項に加え、専門スキルのようにアピールになる要素を入れました。