前回の更新から3ヶ月以上経過してしまいました。博士課程留学に関する情報を再びいくつかシェアさせていただきます。
まずこの記事では、ヨーロッパ博士課程への応募から合格までのスケジュールを紹介します。
私の出願は修士2年の時で、専攻は化学・材料科学である点にご注意ください。
合格までのスケジュール
下記の表が大まかなスケジュールです。合計2校に応募し、現在はKU Leuvenの博士課程に在籍しています。
日付 | EPFL(スイス) | KU Leuven(ベルギー) |
---|---|---|
修士1年3月〜修士2年の夏 | 教員へ推薦状の依頼 研究室の調査 応募情報公開 応募書類準備 | 研究室の調査 |
8月上旬 | 応募情報公開 応募書類準備 | |
8/15 | 書類提出 | |
8月下旬 | 書類提出 | |
〜9/15 | 推薦状提出 | |
9月中旬 | 面接① | |
9月下旬 | 推薦状提出 | |
9月末 | 面接② | |
9/29 | 合格通知 |
応募開始までの準備
応募開始時期の決定
もともと修士の後は就職する予定であり、博士進学および留学のいずれも考えていませんでした。
就職活動を進める中で考えが変化し、修士1年の3月に就職ではなくヨーロッパ博士課程進学を目指そうと決め、そこから準備を始めました。
以前の記事で紹介したPhD学生の求人サイトでは、募集要項に博士課程の開始時期が記載されています。「〇〇月〇〇日にスタート」といった具体的な月日ではなく「合格後は可能な限り早めに、遅くとも〇〇月までに開始」という書かれ方が多いです。例えば、4月の募集の場合、「合格後はすぐに、遅くとも8月までに開始」というような形式です。
しかし、博士課程を目指そうと決めた修士1年の3月時点では、卒業まで残り1年ありました。例え修士2年の春に合格が決まったとしても、日本での修士課程を終えるまでには半年以上かかり、その後に博士課程を開始することになります。
そのため、春〜夏にかけては準備に徹して、修士2年の8月に応募を開始しました。準備というのは興味のある研究室の調査、CVや志望理由書などの書類作成、および推薦状の依頼です。
8月に応募をスタートした理由は、一校目に応募したEPFLの締め切りが関係しています。春の時点でEPFLの締め切りが9月15日であると分かっていたため、推薦状作成の期間を最低1ヶ月確保できるように、期限1ヶ月前の8月15日までに書類を完成させようと決めました。
推薦状の依頼
応募には最低2通、募集によっては3通の推薦状が必要です。
修士1年の3月に博士課程進学を決意し、その際に3名の教員に博士留学を目指す旨を伝え、同時に推薦状の依頼をしました。みなさん快く引き受けてくださり、感謝しかありません。留学に限らず、推薦状が必要な場合はできるだけ早めに教員にお願いしましょう。
具体的に推薦状を書き始めていただいたのは、出願締め切りの1ヶ月前です。締め切りの1ヶ月前までに自身の志望理由書を完成させ、あらかじめお願いしていた教員の皆さんにCV、志望理由書、いつまでにどのような方法で推薦状を用意・送付してほしいかを伝えてお願いしました。
一校目:スイスのEPFL
最初に応募したのは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)です。
EPFLのPhD課程では、多くのヨーロッパの大学とは異なり、研究室からの合格だけでなく、研究室の所属する学科からの合格も必要です。私が志望していた研究室が所属する学科のPhD課程では、年に3回の応募期限があり、前述のように9月15日の期限に合わせて応募することに決めました。(2022年の他2つの期限は1月15日と4月30日でした。)
出願には2つのプロセスがありました。一つ目は書類の提出、二つ目が推薦状の提出です。
書類提出はEPFLの博士課程申し込み用の応募フォームから行いました。はじめに応募用のアカウントを作成しました。続いてCVや志望理由書、成績表などの必要書類をアップロードし、最後に興味のある研究室を選択しました。
締切1ヶ月前の8月15日に書類提出を終えました。すると、応募フォームに記入した三名の教員宛に推薦状依頼のメールがEPFLから自動で送信されました。
教員の皆さんにはEPFLから届いたメールに従って、推薦状をEPFL宛に電子ファイルで送っていただきました。これにて9月中旬にEPFLへの応募が完了しました。
二校目:ベルギーのKU Leuven
書類提出
二校目のルーヴェン・カトリック大学(KU Leuven)には8月末に書類を提出しました。
KU Leuvenへの応募ではEPFLの場合とは異なり、大学や学科への応募は必要ありませんでした。
8月上旬にPhDポジションの応募情報が公開されました。こちらはヨーロッパのMarie Skłodowska-Curie Actions(MSCA)というプログラムの一環で、PhD生を対象としたプロジェクトのポジションです。
応募要項には遅くとも2月までに博士課程を開始してほしいと記載されており、私は早くて4月に開始できるため、条件を満たしていませんでしたが、興味のある研究室ということもあり、ダメ元で応募することにしました。
8月下旬にCVや志望理由書などの書類提出を終えました。提出はプロジェクトのウェブサイトの応募フォームから行いました。推薦状の欄には推薦者の連絡先を記入し、選考が進むと推薦者に相手側から推薦状の依頼が届くようになっていました。
EPFLのように推薦状を提出しなければ出願が完了しない場合もあれば、今回のKU Leuvenのように出願時は連絡先を記入し、後日推薦状を書いていただくという場合もあります。
面接と推薦状
書類選考を通過し、9月中旬にTeamsで約1時間の面接を行いました。これまでの研究に関するスライドを用意し、研究についてのプレゼンとそれに対する質疑応答、博士課程への出願に関する一般的な質疑応答を行いました。
1度目の面接を終えた後に、推薦状をお願いしていた教員宛に推薦状依頼の連絡が来ていたようです。
その後Teamsで2度目の面接をしました。面談相手は1度目とは異なる教授および留学先研究室のPhD生でした。
2度の面接および推薦状をふまえて、9月末にメールにてオファーの連絡をいただきました!
合格後
EPFLからの結果待ちの状態でしたが、面接の雰囲気で現在の指導教官やラボメートと一緒に研究したいとの思いが強まっており、EPFLの結果を待つことなく、オファーをいただいた翌日にぜひ研究させていただきたいとの連絡をしました。
前述のように今回のPhDポジションの応募要項には、遅くとも2月には博士課程を開始してほしいとの条件が記載されていました。私は修士課程を3月に修了予定であり、出願書類には早くとも4月から博士課程をスタートできるの旨を記載していました。それにも関わらずオファーをいただくことができました。
募集要項の開始時期は絶対ではなく、数ヶ月の遅れであれば融通が効く場合もあります。興味のあるPhDポジションがあれば、開始時期で諦めるのでなく応募してみると良いです!
9月末に無事オファーをいただいたことで修士後の進路が決まり、翌10月からはVISAをはじめとした留学に向けた準備を始めました。こちらについては別の記事で紹介します。
まとめ
今回はヨーロッパ博士課程への出願から合格までのスケジュールを紹介しました。
ヨーロッパ博士課程を目指すと決めたら早めに教員に推薦状を依頼することが大切です。
また、応募要項に記載されている博士課程の開始時期はあくまで目安であり、間に合わないからと諦めるのではなく、興味のある研究室・研究テーマであればダメ元で応募してみると良いです。