ヨーロッパ博士課程の留学先を見つける3つの方法

この記事ではヨーロッパ博士課程(PhD課程)の公募情報の探し方を3つ紹介します。

博士課程の留学先を探す方法は何通りもあります。例えば指導教員の紹介、短期の研究留学や学会を通じたコネクション作り、研究成果を生かした売り込みが挙げられます。しかし、すべての人がこれらの方法を活用できるわけではありません。

私自身、修士在学中にコネクションを作ることはできず優れた研究成果もありませんでした。それでも今回紹介する方法で博士課程の公募情報を探し、現在はベルギーのKU Leuvenの博士課程に在籍しています。

コネも実績もなかった私がOpen positionsやVacanciesと表記される博士ポジションの公募情報の見つけ方を3つ紹介します。

ヨーロッパ博士課程への出願と合否

探し方を紹介する前に、ヨーロッパ博士課程への出願について簡単に説明します。

はじめに出願先は大学院ではなく研究室です。教授が博士課程に適した研究テーマを考えたタイミングで、PhD Open PositionsやPhD Vacanciesと称して学生を募集します。そのため研究室に、さらに言えば研究テーマに出願します。大学院への出願というよりも「〇〇というテーマで研究をする博士課程というポストに応募」するイメージです。

応募には共通試験や大学固有の入学試験はありません。代わりに履歴書や志望理由書などによる書類審査および面接で合否が決まります。博士ポジションの募集要項には研究テーマの概要や仕事内容、応募資格などが記載されています。大学院への合否というよりも「博士課程というポストに採用される」というイメージです。

また、通年応募できることも特徴的です。教授が博士課程の学生を募集するタイミングは不定期ですが、常にヨーロッパのどこかの研究室が学生を募集しています。その意味で応募を一年中行うことができます。

まとめると、ヨーロッパの博士課程では研究室の募集する博士ポジションに対して応募し、書類と面接で採用が決まります。大学受験よりも中途採用に似ていると言えます。(私自身が中途採用に申し込んだ経験がないため、あくまでイメージです)

この記事で紹介するのは留学先の大学や研究室を見つける方法というよりは、博士課程の公募情報の探し方です。それでは私が実際に行っていた方法を3つ紹介していきます!

PhD学生の求人サイト

一つ目は、PhD学生の求人サイトを使う方法です。

私が利用していた求人サイトは下記の3つです。

これらは大学や研究機関などアカデミックなポジションに特化した求人サイトです。いずれもユーザー登録なしで無料で利用できます。

求人情報がScholarshipDp.netには掲載されていないが、Academic Positionsには掲載されている場合があったため、三種類の求人サイトを利用していました。

ScolarshipDb.Net

私がメインで利用していたScholarshipDp.Netによる求人情報の探し方を説明します。

ScholarshipDb.Netの見方

ページ中央には募集ポジションの一覧が表示されています。募集情報をクリックすると研究テーマの内容や応募条件、必要書類、応募期限などの詳細な情報を見ることができます。

ページ左側のサイドバーでは国や専攻などの条件を絞ることができます。各条件の右側に表示されている数字はその条件による(おおよその)検索ヒット件数をしています。

PhD公募の検索方法

私が行っていた検索の仕方を紹介します。

  1. Listedからlast-24-hoursを選択(過去24時間に更新された情報に絞る)
  1. ProgramからPhDを選択(PhDの募集のみに絞る)
  1. CategoryからChemistryまたはMaterials Scienceを選択(興味のあった化学および材料科学の研究テーマに絞る)
  1. 最後にページ右側上部のSort byでrelevanceではなくlistedを選択(表示を関連順から更新順に変更する)

検索結果

以上の操作によって興味のある分野のPhD求人情報のうち過去24時間に更新された情報が更新された新しい順に表示されます。この検索を毎日同じ時間帯におこない、新たに更新された情報に目を通すようにしていました。

ちなみにProgramでPhDの代わりにPostdoctoralを選択すると、ポスドクの募集を検索できます。

Academic Positions

ScholarshipDb.Netとレイアウトや検索方法は基本的に同じです。スウェーデンの大学についてScholarshipDb.Netには掲載されていないが、Academic Positionsには掲載されている場合がたびたびあったため定期的にチェックしていました。

EURAXESS

EURAXESSは、EU域内の研究人材のキャリア支援のためのウェブサイトです。この中のJobs and FundingではPhDポジションやポスドクの求人公募情報が掲載されています。

個人的に感じた使いにくさはPhDのみに絞ることができないことです。EURAXESSでは検索条件でPhDやポスドクなどのポジションによる絞り込みができません。

そのため、メインでは使用していませんでしたが、たまに更新順に表示して新たな求人情報をチェックするようにしていました。

大学や研究所の求人ページ

公募情報は、大学や研究所の求人ページからも探すことができます。

大学のみではなく研究所もPhD学生を募集しています。その場合、博士号は研究所と提携している大学から授与されますが、研究そのものは研究所でおこないます。私はドイツのMax Planck研究所やHelmholtz研究所などの公募情報をチェックしていました。

Googleで「大学名または研究所名」「PhD」「Vacancies」の条件で検索すると、大学・研究所のPhD募集ページが表示されます。興味のある大学の求人ページをブックマークに登録しておき、定期的に確認していました。

例えば、私の通っているベルギーのKU Leuvenの場合、下記のような求人ページがあります。URL多岐に渡る分野でPhD学生を募集しており、専攻を選択することで絞りこむことができます。

私は大学というよりは研究室に興味のある場合が多かったため、大学の求人ページはあまりチェックしていませんでした。

Twitter

意外に思われるかもしれませんが、TwitterPhD学生を募集している研究室はたくさんあります。ヨーロッパでは、研究室や教授がTwitterアカウントを持っていることが多いです。

Twitterでの探し方はシンプルで、興味のある研究室または研究者のTwitterアカウントをフォローしておくだけです。あとは募集情報がツイートされるのを待ちます。

Twitterによる情報収集の利点は、フォローしている研究者と交流のある研究室の募集がリツイートで回ってくるため、自分では探せていなかったが面白そうな研究室を見つけられることです。私は最大で30個以上のアカウントをフォローしていました。

ハッシュタグを使って、#phdpositionで募集情報を探すこともできます。ただし、様々な分野の募集が検索にかかり効率が悪いため、ほとんど活用はしていなかったです。

まとめ

この記事では、ヨーロッパへの博士留学の公募情報の探し方を紹介しました。

前提としてヨーロッパ博士留学では、大学院にではなく研究室が募集している博士ポジションの募集に対して研究室に応募します。入学試験はなく書類審査と面接で採用が決まります。

求人サイト、大学・研究所の公募ページ、Twitterの3つの方法でPhD公募情報をを探すことができます。